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第3話「紙の手触りが教えてくれたこと」
ある日、校了前の見本誌が届きました。 ページをめくった瞬間、ふわっと紙の香りが立ちのぼり、指先にやさしい感触が残りました。
そのとき、思ったのです。 紙の本には、時間の流れが宿っている。
デジタル化が進み、電子書籍も便利になりました。 でも、紙の本には「触れる」という体験があります。 ページをめくるリズム、余白の美しさ、インクのにじみ。 それらすべてが、読書という時間を豊かにしてくれるのです。
私は、紙の手触りに何度も救われてきました。
忙しい日々の中で、ふと本を開いたとき、 その静けさが、心を整えてくれることがあるのです。
本づくりは、言葉だけでなく、触感や空気感までを届ける仕事。 だからこそ、紙の選定にも、余白の設計にも、こだわり続けたいと思っています。