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朝10時。メールを開くと、著者からの原稿、デザイナーからの表紙案、営業部からの問い合わせ。 

コーヒーを片手に、今日のタスクを整理します。

午前中は、原稿のチェック。

 誤字脱字だけじゃなく、言葉の流れや読者の気持ちまで想像しながら、赤字を入れていきます。

 「この一文、もっとやさしく伝えられないかな」 そんなふうに、言葉と向き合う時間が続きます。

午後は、著者との打ち合わせ。 「この章、もう少し膨らませたいですね」 「読者が迷わないように、構成を変えてみましょうか」 一緒に本を育てていく感覚が、何より好きです。

夕方には、見本誌が届きました。 

ページをめくると、あのとき悩んだ一文が、ちゃんと形になっている。 誰かの手に渡る前の、最後の確認。

夜7時。今日の作業を終えて、明日の進行表を作成。 まだまだ終わらないけれど、この静かな忙しさが、心地いい。

編集者の1日は、誰にも気づかれないところで、誰かの人生にそっと寄り添う準備をしているのかもしれません。

※この話は、編集者の方からお寄せいただいたお話を元にしたフィクションです。