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業界研究#読み物

第6話:はじめての担当本、震える手でめくった見本誌

編集者になって、初めて担当した本。  
それは、今でも私の本棚のいちばん手前に置いてあります。

あの頃は、右も左もわからず、先輩の背中を必死に追いかけていました。  
企画会議でうまく話せず、著者との打ち合わせでは緊張して言葉が詰まり、  
原稿に赤字を入れるたびに「これでいいのかな」と不安になっていました。

でも、著者の言葉に励まされ、  
「あなたの視点があるから、この本は面白くなる」と言ってもらえたとき、  
初めて「編集者になってよかった」と思えたんです。

見本誌が届いた日。  
震える手でページをめくりながら、  
「この本が、誰かの心に届きますように」と祈りました。

その本は、ありがたいことに重版がかかり、  
SNSで「読んで救われた」と書いてくれた人もいました。

でも、私にとって何より大切なのは、  
**あのときの自分が、誰かの言葉に支えられて、1冊を形にできたこと。**

 

初めての担当本は、編集者としての原点。  
これからも、あのときの気持ちを忘れずに、本と向き合っていきたいと思っています。

 

※この話は、編集者の方からお寄せいただいたお話を元にしたフィクションです。